監修:東静脳神経センター 院長
順天堂⼤学医学部 脳神経内科 非常勤講師 横山 和正 先生

ユプリズナによる治療を受ける患者さんのための医療費助成制度

視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)は、条件を満たすと難病法による医療費助成が受けられる可能性があります。
その際、自己負担限度額は医療費総額、年収、加入している公的医療保険の種別や介護保険認定の有無などによっても異なりますので、あらかじめ申請窓口でご確認ください。申請窓口は住所地を管轄する健康福祉センター(保健所)ですが、申請から都道府県より指定難病医療受給者証が審査、認定、交付されるまで約3ヵ月程度かかります。その間に指定医療機関において自己負担で支払った医療費は都道府県の申請窓口に提示し払戻し請求をすることができます。

医療費助成までの流れ

医療費助成までの流れ

高額療養費制度(70歳未満)

高額療養費制度(70歳未満)

高額療養費制度(70歳以上)

高額療養費制度(70歳以上)

難病医療費助成制度

難病医療費助成制度

出典︓難病情報センターホームページ(2023年6⽉)(https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460)

Aさんの場合 軽傷、72歳、女性、年収約78万円(独居) Aさんの場合 軽傷、72歳、女性、年収約78万円(独居)

Aさんの場合

軽傷、72歳、女性、年収約78万円(独居)
4月から投与を開始したAさんの場合では、初年度10月は、投与例a、bともに「難病医療費助成制度」に申請できませんので、高額療養費制度を活用します。投与例bは、医療費総額が33,330円/月が年間3回を超えた11月に「難病医療費助成制度」に申請できますので、次年度4月と10月は「難病医療費助成制度」を利用できます。
軽傷、72歳、女性、年収約78万円(独居)

計算例

初回投与から6ヵ月後の医療費:医療費総額10,485,912円*1の場合の負担上限額は、8,000円。
以降6ヵ月に1回投与。投与例bの次年度4月、10月の医療費:負担上限額は、2,500円。
ユプリズナ薬価:100mg10mL1瓶349万5304円(2021年7月現在)
計算例

「投与例aの場合」高額療養費制度(70歳以上低所得者の場合)

ユプリズナの投与は、初回と2週後を除いて半年に1回(年間2回)です。
そのため、投与開始の次年度を除き、医療費の総額が33,330円/月以上の月が年間3回未満の場合は、「軽症高額」に該当せず、難病医療費助成を受けられません。「軽症」患者さんの多くは「高額療養費制度」を活用することとなります。
「投与例aの場合」高額療養費制度(70歳以上低所得者の場合)
Bさんの場合 軽傷、35歳、女性、会社員(被保険者*)、年収約380万円 Bさんの場合 軽傷、35歳、女性、会社員(被保険者*)、年収約380万円

Bさんの場合

軽傷、35歳、女性、会社員(被保険者)、年収約380万円
4月から投与を開始したBさんの場合では、初年度10月は、投与例a、bともに「難病医療費助成制度」に申請できませんので、高額療養費制度を活用します。投与例bは、医療費総額が33,330円/月が年間3回を超えた11月に「難病医療費助成制度」に申請できますので、次年度4月と10月は「難病医療費助成制度」を利用できます。
Bさんの場合 軽傷、35歳、女性、会社員(被保険者*)、年収約380万円
*健康保険に加入している本人を被保険者といいます。被保険者に扶養されている家族は、被扶養者といいます。

計算例

初回投与から6ヵ月後の医療費:医療費総額10,485,912円*1の場合の負担上限額は、182,289円。
以降6ヵ月に1回投与。投与例bの次年度4月、10月の医療費:負担上限額は、20,000円。
計算式 80,100円+(10,485,912円-267,000円)×1%
ユプリズナ薬価:100mg10mL1瓶349万5304円(2021年7月現在)
計算例

「投与例aの場合」高額療養費制度(70歳未満・区分ウの場合)

ユプリズナの投与は、初回と2週後を除いて半年に1回(年間2回)です。
そのため、投与開始の次年度を除き、医療費の総額が33,330円/月以上の月が年間3回未満の場合は、「軽症高額」に該当せず、難病医療費助成を受けられません。「軽症」患者さんの多くは「高額療養費制度」を活用することとなります。
「投与例aの場合」高額療養費制度(70歳未満・区分ウの場合)
Cさんの場合 重症、30歳、女性、世帯年収約580万円 Cさんの場合 重症、30歳、女性、世帯年収約580万円

Cさんの場合

重症、30歳、女性、世帯年収約580万円
4月から投与を開始したCさんは、過去1年以内の症状が重症になりますので、「難病医療費助成制度」に申請を行い、活用することとなります。
初年度の10月は「一般」の医療費助成が受けられます。
重症、30歳、女性、世帯年収約580万円

計算例

初回投与から6ヵ月後の医療費:医療費総額10,485,912円*1の場合の負担上限額は、20,000円。
以降6ヵ月に1回投与。
ユプリズナ薬価:100mg10mL1瓶349万5304円(2021年7月現在)
計算例

難病医療費助成(一般所得Ⅱの場合)

難病医療費助成(一般所得Ⅱの場合)
Dさんの場合 重症、43歳、女性、世帯年収約78万円(独居) Dさんの場合 重症、43歳、女性、世帯年収約78万円(独居)

Dさんの場合

重症、43歳、女性、世帯年収約78万円(独居)
4月から投与を開始したDさんは、過去1年以内の症状が重症になりますので、「難病医療費助成制度」に申請を行い、活用することとなります。
初年度の10月は「一般」の医療費助成が受けられます。
重症、30歳、女性、世帯年収約580万円

計算例

初回投与から6ヵ月後の医療費:医療費総額10,485,912円*1の場合の負担上限額は、2,500円。
以降6ヵ月に1回投与。
ユプリズナ薬価:100mg10mL1瓶349万5304円(2021年7月現在)
計算例

難病医療費助成(低所得Ⅰの場合)

難病医療費助成(一般所得Ⅱの場合)