監修:独立行政法人 国立病院機構 北海道医療センター
臨床研究部長 新野 正明 先生

急性増悪期の治療と再発予防の治療、対症療法があります。

NMOSDは治療(再発予防)をしなければ再発を繰り返すことが多く、それにより後遺症が蓄積されることがあります。そのためNMOSDの発作が起こっている急性増悪期では、副腎皮質ステロイド療法や血漿浄化療法などで治療します。この治療で多くの場合は再発を抑えることができます。治療しない場合には1年間に1〜1.5回くらいの割合で再発するといわれており(病初期)、多くの場合は再発する度に障害が増えていきます。
病気の進行とは再発することなく病気が徐々に悪くなっていく状態ですが、NMOSDは進行しないといわれていて、適切な治療で再発を防げば長期予後は悪くありません。最近NMOSDの研究が進んで早期診断と治療ができるようになり、何らかの症状を抱えながらも、普通の生活を送っている人が増えてきています。

日本神経学会. 多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017. p.125-126, 160-161
MSキャビン. 視神経脊髄炎完全ブック第1版. MSキャビン. 2018. p.56-58

NMOSDの急性増悪期の治療1-3)

ドクター

副腎皮質ステロイド療法

副腎皮質ステロイドは免疫や炎症を抑える作用を持ち、様々な病気の治療に使われています。

血漿浄化療法

ステロイドパルス療法の効果が十分に得られない場合や、副作用のために大量の副腎皮質ステロイドが使えない場合は、血漿浄化療法が行われることがあります。
血液中から抗AQP4抗体などNMOSDに関連していると思われる因子を取り除くことで病状を改善させる治療です。

免疫グロブリン製剤

視神経炎の急性期において、副腎皮質ステロイド剤が効果不十分な場合に、免疫グロブリン製剤の静注が行われることがあります。

1)日本神経学会. 多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017. p.160-161
2)日本神経治療学会治療指針作成委員会編. 標準的神経治療:視神経脊髄炎(NMO). 2013; 30(6): p.777-794.
3)MSキャビン. 視神経脊髄炎完全ガイドブック第1版. MSキャビン. 2018. p.66-70

NMOSDの再発予防の治療1-3)

NMOSDは再発を繰り返すのが特徴です。再発を繰り返すと障害が増えていくため、NMOSDでは診断されたらすぐに再発を予防する治療を始めます。

副腎皮質ステロイドの内服

再発予防薬として国内で最もよく使われているのは、飲み薬の副腎皮質ステロイドです。
病状や主治医の考え方によって、副腎皮質ステロイドの量が多くなることもあれば、免疫抑制剤を用いて飲み薬の副腎皮質ステロイドをゼロにすることもあります。

免疫抑制剤(国内適用外):体内の免疫反応を抑制する薬

免疫抑制剤は通常、十分な効果が出るまでに数ヵ月以上かかるため、それまでは副腎皮質ステロイドと併用し、徐々に副腎皮質ステロイドを減らしていきます。

その他

副腎皮質ステロイドと免疫抑制剤が効かない場合は、抗体製剤が使われることがあります。

1)日本神経学会. 多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017. p.166-167
2)日本神経治療学会治療指針作成委員会編. 標準的神経治療: 視神経脊髄炎(NMO). 2013; 30(6): p.777-794.
3)MSキャビン. 視神経脊髄炎完全ブック第1版. MSキャビン. 2018. p.66-79より改変