どのような検査をして診断されるのですか?
IgG4関連疾患の診断は、①血液検査、②画像検査、③病理組織学的検査を組み合わせて行います。複数の検査を組み合わせることで、悪性腫瘍や似ている別の病気との区別を行っていきます1)。
検査1)
血液検査
血液検査では、IgG4の値が上昇しているかどうかを確認します。ただし、IgG4の値が上昇する病気はIgG4関連疾患だけではないため、IgG4の値が上昇するその他の病気でみられるような血液検査所見がないかも確認して慎重に判断します。

画像検査
画像検査では、CTやMRI、エコー検査、内視鏡検査などが行われます。これらの検査で、体全体にIgG4関連疾患の病変がないか確認します。また、病変の検出にはFDG-PET検査という検査法が用いられることもあります※。
※FDG-PET検査は、2025年11月時点でIgG4関連疾患には保険適用外です。

病理組織学的検査
病理組織学的検査は、病変組織を細い針や手術で取り出し、顕微鏡で観察する検査です。病変がある臓器の組織を調べることで、悪性腫瘍や似ている別の病気との区別を行っていきます。

診断2)
IgG4関連疾患の診断は「包括診断基準」(下表)と各臓器の「臓器別診断基準」を組み合わせて行います。
2020改訂 IgG4関連疾患包括診断基準
| 項目1 | 臨床的及び画像的診断 1つまたは複数の臓器に腫れた部分がある(リンパ節のみに病変がある場合は除く)。 |
|---|---|
| 項目2 | 血清学的診断 高IgG4血症(血清IgG4値が135mg/dL以上)を認める。 |
| 項目3 | 病理学的診断 特徴的な細胞(IgG4陽性形質細胞)の増加を認めるなど、3つの病理学的診断条件のうち2つを満たす。 |
- 項目1+項目2+項目3を満たすもの:確診群(definite)
- 項目1+項目3を満たすもの:準確診群(probable)
- 項目1+項目2を満たすもの:疑診群(possible)
注釈 臓器別診断基準の併用
本基準で、準確診群(probable)、疑診群(possible)であっても、IgG4関連臓器別診断基準*で確定診断されたものは、IgG4関連疾患確診群(definite)と判断する。
*IgG4関連臓器別診断基準:- ①自己免疫性膵炎診断基準
- ②IgG4関連ミクリッツ病診断基準
- ③IgG4関連腎臓病診断基準
- ④IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準
- ⑤IgG4関連眼疾患診断基準
- ⑥IgG4関連呼吸器疾患診断基準
- ⑦IgG4関連大動脈周囲炎/動脈周囲炎および後腹膜線維症診断基準
- 1) IgG4関連疾患患者会. IgG4関連疾患について.
https://igg4.jp/pa/about/ (閲覧日: 2025年11月4日) - 2) 梅原久範, ほか. 日内会誌. 2021; 110(5): 962-9.より作成
